本書は増強改訂版。旧版は2010年出版。
永く読み継がれてきた古典と言ってもいいだろう。
私は財務諸表を読むことはできる。ただそれは、既に大企業となった企業の話だ。
ベンチャーといえば、資金調達してがんばって会社を大きくし、ストックオプションで大儲けというイメージ。
しかし、「資金調達」ってお金もらうこと?「ストックオプション」ってそもそもどういうもの?など、突き詰めてみるとわからないことだらけ。
会社ってどうやって設立するの?資本金って??
『サクッと起業してサクッと売却する』の正田圭氏もベンチャーにおけるファイナンスの重要性を強く説いている一人だ。
別に株式ではなくて、銀行から借り入れてもいいのではないでしょうか? ダメです。
いきなりだが、ベンチャーが資金調達に銀行を利用するのをNGと言い切っている。確かにベンチャーの資金調達はVC(ベンチャーキャピタル)やエンジェルのイメージだが、その理由をちゃんと説明してくれている。ベンチャーは銀行じゃダメなのだ。
現在「上場を目指します」と言って投資してもらえるハードルとしては、5年後とか7年後に10億円とか40億円とかの規模の純利益が出て、上場時の時価総額が300億円とか500億円程度になる(可能性がある)事業ということになる
こうした具体的な数値目標を持つことが重要だ。起業家は漠然と金持ちになりたい、と心の底では思っているかもしれないが、じゃあ具体的にいつ、どのくらいの金額が手に入るのかわかっていないことが多い。数値目標があれば意思決定の判断基準にもなる。
他にも、DCF法(Discounted Cash Flow法)による会社の値段の測り方、ストックオプションについても詳しく説明されている。
こうして書くとベンチャーファイナンスの理論をただ淡々と書いている本に思えるかもしれないが、実は筆者の磯崎氏の強い思いが随所に表現されている。
日本は欧米や中国などに比べると起業家が少ない。
日本にはVCやエンジェルがあまり存在せず、ベンチャーにお金が集まらないことが原因の一つだと思っていた。
しかし、磯崎氏によると、そうではないとのこと。既にベンチャーにお金が集まる土壌はできており、あとはイケてるベンチャーが出てくるかどうか。それが問題であると。
これはもう、起業するしかないですな。