最近「おひとりさま歌舞伎」がマイブームのヤマピーブラックです。

歌舞伎はこれまで5回くらい観たことがあります。まだまだ歌舞伎初心者です。
そんな私が、これだけ予習しておけば歌舞伎を楽しめる!というポイントを3つに絞って解説します。

歌舞伎の世界は歴史があり、奥が深く、色々知ろうと思うとキリがありません。初心者向けの歌舞伎入門書なども読みましたが、内容が盛り沢山すぎて覚えられません。

以下の3つに絞ってお伝えします。
1、ストーリー
2、役者
3、当日の動き方

1、ストーリー

これだけは声を大にして言いたいです。「ネタバレせよ!」と。

ストーリーは結末まですべて知っておくことが基本です。「それだとおもしろくないじゃん」と思う方も多いと思いますが、これは必須です。私も歌舞伎以外、例えば映画やマンガやRPGゲームなどは、絶対にストーリーを予習しない状態で観ます。

しかし、歌舞伎は例外です。人物のセリフは昔の言葉遣いなので、半分くらいは理解できるかと思いますが、全部は無理です。セリフの解釈だけに神経を集中してしまうのも勿体無いですし。事前予習していないと、終わった後に「あれどうなったんだっけ?」ということになりかねません。

また、歌舞伎の演目は、長い話の一部だけを切り取って上演されることが多いのです。例えばかの有名な『忠臣蔵』。歌舞伎でも人気があり、よく上演される演目ですが、全十一段にわかれており、基本的にそのうちの一段が演じられます。四段目だとすれば、塩冶判官が切腹させられるシーンだけです。

途中から始まって途中で終わるわけなので、あまりストーリーの楽しみは得られないですよね。そこはもう割り切ったほうがよいと思います。歌舞伎ファンの方々は、昔から何度も同じ演目を観ていますし、もちろんストーリーは熟知した状態で観に来ていますよ。

ちなみに、ここで一つだけ用語を覚えて頂きたいのです。それは「狂言」と「舞踊」です。歌舞伎の演目は、大きくこのどちらかに分類されます。「狂言」はいわゆる演劇のようなものを想像してもらえればいいのですが、「舞踊」はその名の通り踊りです。「舞踊」のほうにセリフはあまりなく、したがって、ストーリーもほとんどありません。なので舞踊のストーリーの予習はほんの少しでよいでしょう。

ストーリーを予習するにあたり、私はとりあえずその演目をググって調べています。内容が難しいものもありますが、ある程度登場人物と、最後までの展開を抑えておけばとりあえずはよいでしょう。

細かいストーリーを知りたい場合は、「筋書」(すじがき)を購入することをオススメします。

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2、役者

こちらもストーリーとならんで最重要項目でしょう。最低限、観る演目に誰が出演するのか抑えておきましょう。とはいえ、歌舞伎役者の家や名前は複雑なので、全員覚えておく必要はありません。有名どころ、主要な登場人物の分だけ抑えておけばOKです。

例えば、2018年10月に銀座の『歌舞伎座』で夜の部の歌舞伎を観に行くとします。歌舞伎座の演目と役者は公式ホームページ『歌舞伎美人』に載っています。

夜の部に上映されるのは
『宮島のだんまり』
『義経千本桜 吉野山』(よしつねせんぼんざくら よしのやま)
『助六曲輪初花桜』(すけろく くるわのはつざくら)
の3演目です。

下の方に登場人物の名前と、その役者名が記載されていますね。こちらを見ればOKです。。。と言いたいところですが、苗字が書いてないですね。

例えば、夜の部最後の『助六曲輪初花桜』でしたら、『花川戸助六 仁左衞門』と書いてあります(「はなかわど すけろく」「にざえもん」と読みます)。「花川戸助六」が登場人物名で、「仁左衞門」が役者名なわけですが、「仁左衛門」さんの苗字が書いていません。

このチラシをよく見ると、上のほうに写真と一緒に『片岡 仁左衞門』と書いてありますね。この人が出演するということです。
※ちなみに「片岡仁左衞門」は歌舞伎を代表する超有名役者。『にざ様』の相性でおばさま方からも絶大な人気を誇ります。歌舞伎役者では4名いる人間国宝のうちの1人です。

チラシを色々見ていくと、6番目に『朝顔仙平 巳之助』(あさがおしんぺい みのすけ)とあります。「巳之助」さんを探すと、チラシの上にはおらず、下に写真と「坂東巳之助」の名があります。

失礼を承知で言いますが、下に記載されている役者さんは現時点では覚えなくてもOK。上に大きく写真が載っている方たちだけ覚えておきましょう。ちなみに坂東巳之助さんは、「坂東三津五郎」さんと宝塚女優の「寿ひずる」さんとの間に生まれた若手のイケメン役者さんです。
※歌舞伎にハマったら全員覚えてくださいね。

さて、ざっと苗字と名前を確認したところ、あともう一つ重要な確認ポイントがあります。それは「屋号」です。歌舞伎役者の家系の呼び名、称号みたいなものですね。元は商人を習ってつけたものだそうで、現在でも個人事業主の方は屋号を申請してたりします。

屋号の調べ方はググればOKです。例えば先程の「片岡仁左衞門」。屋号は『松嶋屋』です。「片岡屋」とかではありません。

ただ、屋号と役者の苗字、家系の関係は複雑です。例えば『中村勘三郎(かんざぶろう)』(故)は『中村屋』ですが、『中村吉右衛門(きちえもん)』は『播磨屋(はりまや)』です。また、途中で屋号を変える役者もいます。全部は覚えきれないので、先ほど見た主要な役者の分だけ抑えておけばよいでしょう。

ちなみに、この屋号をなぜ覚える必要があるのかと言うと、歌舞伎の最中にヤジ、ではなく歓声が飛ぶからです。これは歌舞伎に伝統的なもので、『大向う(おおむこう)』と呼ばれる専門の人達がいるのです。この人達が、例えば片岡仁左衞門が登場すると「松嶋屋!!」と叫びます。屋号を叫ぶので、一応屋号を抑えておいたほうが、「あ、仁左衛門がでてきた!」とわかりますし、聞いていて楽しくなると思います。

長くなってきたので今回はこの辺にて、次回続き、「3、当日の動き方」と「初心者のための歌舞伎用語集」をお届けします。