『暗号解読・上』
サイモン・シン、青木薫訳。
暗号、というと数学的でとっつきにくいイメージがあるが、それをこうも面白く書けるものなのか。さながらサスペンス小説を読んでいるようだった。
本書を読めば、数学が苦手な人でもどのように暗号が作られ、解読され、それの繰り返しで発展してきたかを小説感覚で理解することができる。
ちなみに、現在流行している仮想通貨。これは英語では”crypto currency”、つまり暗号通貨である。(日本では仮想通貨と呼ばれることが多いが、暗号通貨も仮想通貨も呼び名が異なるだけで同じもの)
仮想通貨の根源をなすテクノロジーは”暗号”なのである。
本書の後半では、大戦中にドイツが編み出した最強の暗号兵器「エニグマ」が登場。
ここまで読み進めた者なら、この兵器がいかに解読不能で最強の兵器なのか理解できるだろう。そして一様に「これを破ることは絶対に不可能だ」と思う。しかし、破らなければ恐ろしい潜水艦「Uボート」の脅威から免れない。
国家の存続を賭けた、まさに手に汗握るドラマを目撃しよう。