サイモン・シン
青木薫訳
新潮文庫
2007/6/28
上巻に引き続き楽しみにしていた暗号解読・下。序章は時間をさかのぼってヒエログリフ、古代の話。ここでも歴史に魅せられた人々のドラマに胸が熱くなる。
大英博物館でロゼッタストーンを見たことがあるが、ふーん、まぁすごい石か。くらいにしか思っていなかった。今なら文字通りその重みがわかる。
後半はお待ちかねの現代の暗号、RSA。以前のレビューで仮想通貨(暗号通貨)は暗号がキーテクノロジーだと述べたが、それに留まらず、Amazonでのお買い物やLINEのメッセージやりとりなんかにも暗号は使われている。確かに少し考えれば、LINEのメッセージが暗号化されていなければプライバシーもあったもんじゃない。想像以上に我々の生活は暗号だらけであることを認識。
ちなみにRSAは素数、素因数分解を応用したテクノロジーであり、基礎的なmathematicsの知識は重要だと実感。その基礎知識と今のテクノロジーを結びつけることが重要なわけだが。
さて、締めは量子コンピュータの登場。本書が書かれたのは今から10年前であるが、いよいよ量子コンピュータは現実のものとなりつつある。
https://innovation.mufg.jp/detail/id=119
過去の歴史が暗号作成者と解読者のイタチごっこであったことを踏まえると、必然と言えるのかもしれない。だがなんと、さらに上をいく暗号があると。それは本書のわかりやすい解説に任せるが、将来、さらにそれを破る暗号が登場する日が来るのかもしれない。