陸路と海路

人類の誕生はアフリカ大陸と言われている。そこから世界に広かった。
ここで出口氏が指摘している重要なことは、

未知の土地を旅するときには、海沿いに進むほうが容易だということ

 
人類はよく海を渡ったものだと思っていたのだが、実は陸路より海路の方が容易である。
北海道の知床半島には手つかずの自然が存在している。半島の先端の山地は本当に人の手が行き届いておらず、未開の地である。しかし、船で知床半島の先端まで行くツアーはある。現代でも山や森を攻略するのは骨の折れる仕事のようだ。

 

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ドメスティケーション

移住しながら生活していた人類だが、約12000年前ほどから「ドメスティケーション」という現象が起きる。ドメイン(domain:支配する、領土)であり、定住するという意味もある。
定住するためには支配するのである。何を、というと、自然を支配するのである。
自然を支配すると人類の生活は劇的に改善され、食料が過剰生産され、支配階級が生まれる。自然のみならず、人が人を支配するようになったということだ。domainは定住であり、領土であり、支配である。単語の語源を知るのはおもしろい。

 

文字という非同期コミュニケーションの発明

文字が生まれた理由をこうも易しく説明してくれる人は他にいないだろう。少し長いが引用する。

例えば僕が商人で…麦を売っていたとします。当時は物々交換です。それでAさんに麦の束を三つ売った。その代金はAさんの羊に子供が産まれたら一匹もらうことです。それを忘れないために、粘土のボールを三個、粘土のカップ(ブッラ)に入れました。

 
ということをBさん、Cさんとやっていくと、ブッラの中がボールだらけでわけわからなくなる。そこで、粘土ボールに文字をつけようというわけだ。Aとボールに書いておけば、Aさんから羊をまだもらっていないことがわかる。
ここでポイントだが、物々交換とは言え、物を売るタイミングと支払いのタイミングがズレているということだ。ツケ払い、クレジットカード払いと似たようなものだろう。IT業界では「非同期」という用語を使う。
文字によって人類はタイミングがズレた意思伝達、つまり非同期コミュニケーションができるようになったということだ。
 

実はインターネットの発明は非同期コミュニケーションを容易にしたという意味で革命的である。
メールやLINEは正にその非同期コミュニケーションにあたる(LINEはすぐ見ればほぼ同期だが、一応タイミングのズレはある)。
文字の発明もまた然りであったとは。