前編はこちら

 

この記事のタイトルに「多様性先進国」と書いた。
 

まずLGBT。
フランスでは、同居する同性カップルに結婚と同等の権利が認められて20年近く経つ(1999年パックス法)。
2013年には同性婚も認められ、同性カップルが養子縁組することも可能になった。
 

とはいえ、昔は迫害されていたらしい。
 

「中世の魔女狩りで同性愛者は迫害されたんだ。それからナチスはの時代は、同性愛者だというだけで強制収容所に送られた人がフランスにも数十人いる」

多くの血を流してようやく実現されたもの。
 

それから、いろんな国から来た人がいる。
アルジェリア、ポーランド、中国、ベトナム、インド、スーダン、アフガニスタン。
 

アルジェリアは200年間フランスの植民地であった。
独立までの道のりは遠かったらしい。
まあフランスがろくでもないことをしたからだ。
エルサレムの問題もそうだが、フランスやイギリスは昔ろくでもないことをたくさんしていた。
その後はドイツと日本がろくでもないことをして、最近だとアメリカか。
 

登場するおじさんの中にベルベル人という部族が登場する。
この部族は、アルジェリアから独立しようとしているようだ。
 

大量の血を流してフランスから独立したアルジェリア。アルジェリアから独立したいと思い続けているベルベル人。世界は想像以上に込み入っているようだ。

 

さらに難民問題がある。
 

最近シリアでも話題の難民船。
ボートに300人くらい、身動きもとれないくらいぎゅうぎゅうに詰められ、3日間くらいろくな食べ物もなく揺られる。そしてボートが転覆して海に消えていくわけだ。
一部の運が良い人はフランスに辿り付くわけだが、フランスに来ても何もすることがない。仕事があるわけもなく、本当に一日中何もすることがないのだ。
 

広岡さんはつね日頃、「難民問題の元凶はブローカーだ」と語っている。ヨーロッパに行かせてやる、そしたら人生バラ色だとでも宣伝して、貧しい人から大金を巻き上げて、地獄行きの船に押し込む。

 

フランスは難民になにか支援はしてないの?という話だが、当然ながら一筋縄ではいかない。
 

「ひとりの人間を救うものは人類を救う」
「世界は救えない。ただ、ひとりの人に向き合うだけ。」
その口ぶりに、難民支援の葛藤がうかがい知れた。支援活動をしていれば、問題のあまりの広大無辺さに無力感を抱くこともあるだろう。でもまずは目の前のひとりのことだけを考えようと自分に言い聞かせているのだろう。

解釈は人それぞれだと思うが、まずは目の前の人を救うことが大事なのかもしれない。
 

最後に、ユダヤ人のロベールさんの話。
 

正直に告白しなければならない。長いあいだわたしは、第二次大戦中のユダヤ人虐殺、いわゆるホロコーストはドイツのはなしだと思っていた。

 

正直に述べると、私もドイツとポーランドくらいだと思っていた。
フランスでも大量のユダヤ人が強制収容所に連れて行かれたらしい。
 

ロベールさんは敬虔なユダヤ教徒の一家だった。ホロコースト(フランスではショアと呼ぶらしい)で両親と兄弟を亡くし、自分一人だけ生き残った。
 

ぼくは神様が信じられなくなった。ラジカルに、深く、無心論者になった。

この言葉が重い。。。
ユダヤ人が宗教を捨てるということは、相当なことなのだろうと想像する。
 

世界では今も私達の知らないところでいろんなことが起きている。
ただ、人間は歴史から学ぶことができるはずだと思いたい。